エゾシカ情報



97年2月エゾシカの越冬状況 阿寒

 道東の太平洋側は今シーズン積雪が少ない。

 阿寒一帯も積雪が少なく、冬の主食であるササが雪の下に隠れることが少ないので、
 エゾシカにとってはしのぎやすい冬のようです。

 実際に先日の調査でも阿寒湖から阿寒川上流域付近でシカの死体は発見されておらず、
 近年、シカの生息密度が減少傾向にあることに加えて、今年の小雪が
 シカにとっての食糧確保を多少容易にしていると考えられています。

 ※昨シーズンはこの時期既に死亡したシカが発見されていた。


 一方、十勝の糠平湖では衰弱死したとみられるシカの死体がいくつか見つかっています。
 いずれも皮下脂肪がほとんど無い状態で積雪による餌不足が原因と見られています。


 各地の積雪の状態がシカの生存率に大きく関わっているようです。




エゾシカの越冬地 阿寒

 毎年12月〜4月にかけてエゾシカは越冬するために条件の良い場所に集まってきます。
 場所によっては一度に多数のシカが見られる大きな越冬地もあります。

 <越冬地に適した環境>

 ・強い風の吹かない地形
 ・海岸や川に面した斜面(知床)
 ・針葉樹と広葉樹が交じり合う針広混交林
 ・眠ったり、休息を取るための常緑の針葉樹
 ・冬場の主食となるササや樹皮(ハルニレ等)が豊富
 ・適当な開水面(湖や川)

  道東では阿寒湖周辺や知床の海岸付近等が知られており、今年も多くのシカが集まってきている。

  特に阿寒湖の南側から阿寒川流域にかけては北海道有数のエゾシカの越冬地となっている。



阿寒のエゾシカ

 96年春 雪解けが遅く冬季の積雪深50cm以上の期間が130日を越えた。
 例年は100日前後なので通算1ヶ月ほど長かった。そのため多くのシカが死んだ。

 越冬に備えて脂肪を貯える初冬に積雪が早く十分な餌がとれなかった事に
 加えて春先に雪が降り、雪解けが遅れた事が阿寒のシカにとって大きなダメージとなった。
 やせ細ったシカ

 体力の無い子ジカが死ぬのはもちろんだが、この年はメスの死亡が多かった事が特徴としてあげられる。



最近のエゾシカに関するデータ

 ・メスの成獣の平均体重の変化
   91年、エゾシカの生息数がピークに達していた頃の体重は65kg。
   それに対して昨年96年の場合は42kg。わずか5年の間に実に23kgも減少しています。

 ・春の子ジカの生存率(メス成獣100頭あたりの子ジカの頭数:約40が増減の境)
   1988年   60   この頃ピーク
   1990年以降 40〜50 増加の鈍り
   1996年   20   大幅な減少

 ・生息数の把握
   エゾシカに限らず野生動物の生息数を正確に把握する事は難しいが、
   毎年同じ場所で生息数を確認する定点観測のような手法によって
   生息密度を把握する事で全体数を推定する事は出来る。

   阿寒湖の国道脇 90年初め頃3月から4月 1000頭
           96年3月から4月    200頭

   美幌峠牧場   93年秋 250頭
           96年秋 200頭
    ライトセンサス(夜間スポットライトによって光るシカの目を数える)による定点観測



エゾシカの移動

 電波発信機を使用したシカの追跡調査によってわかってきたこと。

 ・夏と冬で生息場所を変えている。
 ・移動する場所が毎年決まっているシカがいる。
   夏は屈斜路湖の北側にある藻琴山へですごし、冬は阿寒で越冬する
   サイクルを続けているシカがいる反面、前年とは違う場所へ移動する個体もいる。
 ・生息場所によっていくつかのグループがある事。
 ・そのいくつかのグループが越冬場所として阿寒湖周辺を利用している事。

 阿寒に生息するメスジカの移動(図)



エゾシカについて
 (エゾシカの生活について紹介しています)



阿寒エゾシカレポート
 (知床サイト会員向けネイチャーメールバックナンバーより)






取材協力:美幌博物館 宇野裕之氏

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