
マダラウミスズメ調査レポート マダラウミスズメはチドリ目ウミスズメ科に属し、内陸に入った老齢林内にある太い 樹の苔類やチイ類で覆われた横枝に営巣する変わった習性を持つ海鳥である。 日本では、抱卵中の個体が小清水町藻琴山山麓で捕獲されたのが唯一の繁殖記録であ る。 この鳥の世界的な分布は、アリューシャン列島を中心に、東はカナダやアメリカ沿岸 、西は日本沿岸にわたっている。 また、日本でみられるマダラウミスズメは、カナダやアメリカでみられるものに比べ て嘴が長いがため、亜種と考えられてきたが、最近の研究では別種とみなされている。 1996年日本ウミスズメ研究会は日本自然保護協会のPNファンドの助成金を得てマダラ ウミスズメの繁殖調査を実施した。 日本初「マダラウミスズメ大捜索」は、1996.6.30〜7.6までの1週間知床半島のウト ロ側を中心に調査活動をした。調査参加者は、カナダから2名、アメリカから5名、ド イツ から1名そして日本から7名の国際的な調査となった。 そのうち、アメリカから参加したキム・ネルソンとトム・ヘイマーはマダラウミスズ メの研究者で、今回の調査の指導者として来日した。 調査方法は、日中の間にマダラウミスズメの繁殖の可能性のある森を探す。マダラウ ミスズメが繁殖地に出入りする際に、飛行して通過すると予想される所を調査地点に選 び、日の出約1時間30分前から日の出後1時間30分までの合計3時間、調査地点に貼り 付き調査する。種の確認は飛行する個体の鳴き声や姿で判別する。 我々は、まず唯一の国内の繁殖記録のある、藻琴山で調査を行なった。しかし、営巣 が可能な樹木は点在していたが、マダラウミスズメの姿は確認出来なかった。 2日目からは、調査地域を知床半島のウトロ側を選び調査した。 調査地の選定には、地元の知床自然センターの松田氏の協力を得た。 北アメリカで繁殖するマダラウミスズメが、営巣場所として利用する針葉樹の大木で 横枝が太く苔が付着している植性の環境を探すため、オシンコシンの滝周辺からカムイ ワッカの滝そして知床横断道路を羅臼まで捜索したが、外国人の研究者が納得するよう な繁殖に適した環境は非常に少なかった。 その中で、繁殖の可能性が高い比較的大きな針葉樹が自生する森の近を調査地点とし て選んだ結果、岩尾別川河口・イダシュベツ川橋・岩尾別温泉下流・三重の滝山側の林 道・知床横断道路のウトロ側の5地点となった。 4日間調査したが、残念ながらマダラウミスズメを確認することは出来なかった。「 もしかして、マダラウミスズメか?!」という声や姿を見聞きした外国人研究者もいた が決定的な種の判別には至らなかった。 しかし、今回は、昨年8月上旬に河口付近の海上で15〜16羽の群れが観察された、テ ッパンベツ川周辺などのカムイワッカの滝より奥の岬側の地域は未調査なうえ、藻琴山 周辺の調査が不十分なため、今後さらなる調査が必要である。 マダラウミスズメは確認出来なかったが、我々の「マダラウミスズメ大捜索」は海外 からの研究者を招き調査方法を学び交流する点について、今回のマダラウミスズメ調査 の一応の成功を収めたと思われる。 今後、さらなるマダラウミスズメの調査が急務である。この鳥が誰にも繁殖の事実を 知られることなく、日本から絶滅してしまう事だけは避けなくてはならない。 もしかして、すでに絶滅している可能性もあるが!?・・・・・。 マダラウミスズメの目撃情報、陸からでも海からでもなんでも情報下さい。 次回のマダラウミスズメの調査はいつ実施できるか解かりませんが、次回は地元の方 に多く調査参加していただきたいと思います。 1996.7.18 福田佳弘 |